自分の可能性を広げたい!高校生の海外留学の完全ガイド

「高校生で留学をする。」

今ではその数も以前に比べれば増えてきました。海外の高校を卒業して、推薦で日本の難関大学に行く、または現地の大学に進学し、留学で培った英語力を活かせる外資系や海外駐在などの仕事に就くなど、今後のキャリアを考えれば無限の可能性を秘めているのが、高校生留学の魅力と言えるでしょう。

しかし、その反面、「同じクラスメイトと一緒に卒業ができなかった」や「現地での暮らしに馴染めずに途中で帰国してしまった」など、留学における大変さもあります。

今回は、高校生が留学する上でのメリット・デメリット、留学の種類、また留学する方法について説明していきたいと思います。

目的別!高校生の留学タイプを理解しよう


タイプ1“海外生活を体験してみたい” - 短期留学 - 

高校生の短期留学

|特徴

夏休みや春休み等の長期休暇を利用して、留学に行くパターンです。
留学期間は2~4週間が一般的で、現地の人と友だちになって異文化交流をすることが出来ます。

|メリット

日本では味わえない体験を通して、視野を広げることが出来ます。

また、プログラムによっては語学以外のスポーツや現地の文化を体験できるプログラム、ボランティア活動にも参加することができます。親元を離れて、知らない土地である程度の期間、生活するということは、今後の生活において自信や行動力につなげることができるでしょう。

|注意点

留学は昔に比べ手軽になっているとはいえ、治安が良い場所ばかりとは限りません。語学力はもちろん、現地の治安や文化を下調べした上で留学に臨むことをおすすめします。

親元を離れて暮らすというただでさえ慣れない状況の上、全くの異国に行くことは想像以上に大変なことです。「なぜ、留学をしたいのか」「留学先で何を学びたいのか」ということを事前に決めておかないと、ただ大変だった留学生活という嫌な思い出だけが残ってしまいます。事前に、留学カウンセラーやご両親とじっくり話し合うのがベターでしょう。

 

タイプ2:“海外の高校で勉強してみたい” - 休学留学 -

高校生の休学留学

|特徴

日本の高校を最長1年間休学し、海外の高校に通う留学です。単位は渡航先の高校で取得します。

|メリット

貴重な高校時代の1年間を、海外の教育環境で学ぶことで多角的な視点や価値観を身につけることが出来ます。英語力はもちろん、人間力の養成においても貴重な経験といえるでしょう。また、大学、社会人というキャリアに対して、有利にスタートを切ることができます。

|注意点

注意点としては、復学後にクラスメイトと同じ学年になれない可能性があることです。また、留学する学年、期間によって入試の準備時期が短くなるので、事前にスケジュールや復学後の予定を検討した上で、留学をするのがベターでしょう。

 

タイプ3:“海外の高校を卒業したい” - 高校卒業留学 -

高校生の高校卒業留学

|特徴

中学卒業後もしくは高校を途中で退学し留学先の高校を卒業する、海外の大学への進学を目指す場合です。

|メリット

休学留学や短期留学に比べて、ネイティブに近い高い英語力が身につきます。大学進学も海外と国内の大学に選択肢を増やすことができます。海外での長期生活を通して、自分で困難を乗り切る力(問題解決力)、自分で考える力が身につきます。多角的な視点から物事を考えられるようになります。

|注意点

留学する場所、プログラムによってそれぞれ異なりますが、数年間の留学となれば、金銭的負担は大きいでしょう。前もって、費用の計画を立てる必要があります。また、数年間在住するので、近所付き合いや地域コミュニティなど自力で現地のネットワークに溶け込んでいかなければなりません。

 

出発までの準備も大事!留学タイプ別に注意点を確認しよう


高校生留学の準備期間

留学までの流れは下記になります。基本的な流れは変わりませんが、短期留学、休学留学、卒業留学でそれぞれ提出する書類や行う手続きが変わります。

留学までの流れ

ステップ1:留学の進路相談(目安時期:2年〜1年前)

          ↓

ステップ2:出願校の選定(目安時期:1年前)

          ↓

ステップ3:出願・入学手続き(目安時期:7ヶ月前〜6ヶ月前)

          ↓

ステップ4:渡航準備の諸手続き、作業(目安時期:4ヶ月前)

          ↓

ステップ5:オリエンテーション(目安時期:3ヶ月前)

          ↓

ステップ6:現地生活準備、持ち物用意(目安時期:2ヶ月前〜1ヶ月前)

          ↓

ステップ7:出発

 

注意すべきポイント

| 短期留学

短期留学は、学生ビザが不要な場合がほとんどですが、国・期間によって取得するビザの種類が異なるので注意が必要です。また、出発時期により航空運賃が異なるので、確認が必要になります。

【必要な書類】

□観光ビザ(期間によって学生ビザが必要の場合もあります。)
□入学許可証

 

|休学留学

休学留学とは、一般的に1年間高校を休学し、海外の高校に留学することを指します。

そのため、休学届の申請、学生ビザの取得、推薦状など申請・提出する書類が多くあるため、余裕を持って準備をすると良いでしょう。休学留学の場合は、復学のことや国によって新学期の開始時期が変わることもあるため、早めの準備が必要です。また、在籍している日本の高校によっては海外の高校の単位の互換が認められず、復学後は同じクラスメイトと一緒に進級できないこともあるので、事前に確認しましょう。

国・地域によって学期の始まる時期が異なるため、帰国のタイミングなども変わってきます。受験勉強の準備にも影響を及ぼすため、早めに渡航先の国を決めることが重要です。

【必要な書類】

□学生ビザ
□在学校長の推薦状
□英文成績証明書
□休学届、復学届
□英文推薦状
□留学証明書(復学後)
□留学報告書(復学後)
□入学許可証

 

|高校卒業留学

高校卒業留学は、一般的に卒業までの2~3年間を海外の高校で過ごします。

ほとんどの場合、私費留学になります。中学卒業後、直接海外の高校に入学する場合と、在籍している日本の高校を中退して海外の高校に編入する2パターンがあります。卒業留学の場合、卒業後の進路も見越した上で渡航先を選ぶ必要があります。そのため、かなり早い時期から準備を進める必要があります。

【必要な書類】

□学生ビザ
□在学校長の推薦状
□英文成績証明書(中学または高校)
□英文推薦状
□入学許可証
□退学届(中退する場合)
□エッセイ
□健康診断書
□財政能力証明書
□テストスコア(中学卒業後、留学する場合)
□入学願書

 

各国の教育システムを理解して、自分にあった留学先を選ぼう


高校生で留学する場合の各国の教育システム

渡航先の国によって教育システムが異なります。それぞれの特徴・特性を理解した上で、留学先を決めましょう。

アメリカ

新学期の始まり…9月

ビザについて

現地の留学期間が90日以上、授業が18時間以上の場合、学生ビザの申請必要あり

教育システムの特徴

日本の学校教育は6-3-3制ですが、アメリカでは5-3-4制あるいは、6-2-4制となっていますが、後者が一般的です。またアメリカでは、公立は「義務教育を終了させる場」、私立を「大学受験の準備をする場」と完全に分けて考えられています。そのため、公立よりも私立の方が教育システムが充実しています。私立の場合だと、クラスの人数が8~10人と少人数制で、各人に行き届く教育がなされています。

カナダ

新学期の始まり…8月中旬〜9月

ビザについて

現地の留学期間が6ヶ月以上、または履修コースに企業や公共機関等での実習が含まれている場合は学生ビザの申請の必要があります。

教育システムの特徴

カナダの高校では、カリキュラムを自分にあったものに組み替えることができます。選択科目の割合も多く、自分が進みたい分野にあわせて学習を進めることが可能です。カナダには、教育制度を管理する機関が国にないため、州ごとに管理を行っています。そのため、州によって初等・中等教育の方針が異なります。

イギリス

新学期の始まり…9月

ビザについて

現地の留学期間が6ヶ月以上で学生ビザの申請必要あり

教育システムの特徴

最も大きな特徴は、卒業がなく代わりに統一試験があることです。高校の間は、基本的に統一試験に向けた勉強を行うため、相当な時間を勉強に割くことになります。イギリスにおいて、留学生は基本的に公立校で受け入れを行っておらず、私立高校(寮制高校)に留学します。

オーストラリア

新学期の始まり…1月下旬〜2月上旬

ビザについて

現地の留学期間が3ヶ月以上で学生ビザの申請必要あり

教育システムの特徴

教育制度は州によって若干の異なりはありますが、一般的には12年間の一気通貫教育です。最後の2年間は大学進学のための準備機関とされます。そのため、日本の高校最後の2年間よりも高度な授業が展開されます。

ニュージーランド

新学期の始まり…1月下旬〜2月上旬

ビザについて

現地の留学期間が3ヶ月以上で学生ビザの申請必要あり

教育システムの特徴

学年は、生年月日で決定されます。そのため、留学する場合にはその時の生年月日で考慮されるため、高校1年の過程を日本で終えていても、高校1年から編入する場合もあります。ニュージーランドの高校は、4学期制で日本の大学のように「単位制」です。そのため、学生のレベルに応じて履修しているクラスや授業の内容が異なります。

アイルランド

新学期の始まり…9月

ビザについて

現地の留学期間が3ヶ月以上で学生ビザの申請必要あり

教育システムの特徴

アイルランドでは、5-3-1-2制をとっています。最後の2年間は高校卒業資格試験のための準備期間とされています。留学する場合は、トランジション・イヤー(日本での高校1年生)に編入するのが一般的です。

 

こんな留学の仕方もある!奨学金や交換留学制度


高校生の留学で活用できる奨学金や交換留学制度

奨学金や交換留学制度を活用して、留学する方法もあります。ここでは、そのうちの一部を紹介します。

公営財団法人AFS日本協会

AFS日本協会は、1954年から交換留学を行っている実績豊富な公益財団法人です。AFSは世界的規模を持つ大きな組織であり、アメリカのニューヨーク本部を拠点に持ち、加盟国は約60か国、交流国は100か国以上になります。

短期派遣プログラム

受入れ先の文化や言語を積極的に学んで吸収する学生を育成することを目的として行われている留学派遣プログラムです。2016年度では、オーストラリア、カナダ、アメリカ、インド、韓国、中国、イギリスで受入れが行われています。各国で募集人数や学期始まりが異なるため、すでに受付が締め切られていることもありますので、詳細は、短期派遣プログラムページをご覧ください。(※奨学金は支給されず、参加費は自己負担になります。)

年間留学プログラム

長期留学は、交換留学プログラムとなっています。期間は1年間です。ホストファミリーに滞在しつつ、その地域の高校に留学生として在籍し、異文化交流をすることが目的です。(※奨学金は支給されず、参加費は自己負担になります。)

トビタテ!留学JAPAN

文部科学省が行っている留学プロジェクトです。

海外や異文化交流に意欲と能力のある若者向けに企画された留学促進キャンペーンです。

「日本代表プログラム高校生コース」では、14日〜1年間で生徒が自由に期間を設定し、留学できます。また、この留学プログラムでは給付型(返済不要)の奨学金が充てられます。審査には、1次の書類審査と2次の面接があります。審査時期は住んでいる地域によって異なりますので、プログラム詳細ページを参照ください。

 

卒業してからのキャリアも踏まえて留学のプランを立てましょう


休学あるいは中退して留学することは受験の準備期間が短くなる、在籍校のクラスメイトと卒業できないなど今後の進路に大きく影響してくることでしょう。また、先の就職といったキャリアを見越して、本当に高校という時期に留学の必要があるのか、熟考することが後悔のない楽しい留学生活にするのに必要不可欠です。

ぜひ、参考にしてもらえればと思います。

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