イギリス留学に必要なビザはどれ?確認すべき申請方法と注意点
留学するのになくてはならない書類、それが「ビザ」です。
特にイギリスに関しては、2011年にビザ制度が大幅改正され、ビザの種類が細分化されて複雑になりました。ビザの申請を間違えてしまうと、せっかくの留学の機会を失ってしまいます。
今回は、イギリス留学の際に必要なビザの種類から申請時に必要なもの、申請方法、申請にかかる期間、注意点についてご紹介します。ぜひ、参考にしてもらえればと思います。
目次
3.ビザの申請方法
1. イギリス留学に必要なビザは?
まず、イギリスに留学する場合は、期間に関わらずビザの取得が必要になります。観光ビザで就学をすることは出来ないので、必ず就学可能なビザを取得することを忘れないようにしましょう。
イギリスで就学できるビザは全部で4種類あります。
短期学生ビザ6ヶ月、短期学生ビザ11ヶ月、学生ビザ(Tier 4)、ユース モビリティー スキーム ビザ(Tier5)*厳密に言うと、ワーキングホリデービザは就労ビザに該当します。
それでは、それぞれのビザを詳しく見ていきましょう。
●短期学生ビザ6ヶ月(Short-term Study Visa 6 months)
このビザの一番の特徴は、取得方法が2種類あり、日本国内で事前に申請し発行してもらう方法と空港で入国審査の際に発行してもらう方法があります。ただし、空港の入国審査時の発行にも提示が必要な書類があり、それに不備があると入国に時間がかかったり、入国を拒否されることもあるので、時間に余裕があれば事前に申請することをオススメします。
特徴
- 18歳以上
- 留学期間が6ヶ月未満
- 留学期間中の就労は不可(アルバイトも不可)
- ビザの延長ができない
- 語学力の証明が不要
- 空港の入国審査の時でも発行してもらえる
対象学生
イギリスの語学学校で6ヶ月以内のコースを受講する方
●短期学生ビザ11ヶ月(Short-term Study Visa 11 month)
11ヶ月まで語学学校で就学が出来るビザです。短期学生ビザ6ヶ月と違い、短期学生ビザ11ヶ月の取得には、日本国内で事前の取得が必要です。
特徴
- 18歳以上
- 留学期間が6ヶ月〜11ヶ月
- 留学期間中の就労は不可(アルバイトも不可)
- 現地でビザの延長はできない
- 語学力の証明が不要
対象学生
イギリスの語学学校で6ヶ月以上のコースを受講する方
●学生ビザ(Tier4)
学生ビザ(Tier4)は、語学学校を含む、専門学校やカレッジ、大学などの教育機関に6ヶ月以上(語学学校の場合は11ヶ月以上)通う予定の学生が取得できるビザです。
特徴
- 16歳以上
- 最大3年間滞在できる
- イギリス国内で最大週20時間まで就労できる(大学、大学院等でもOK)
- 現地でビザの延長申請が可能
- 語学力の証明が必要
対象学生
イギリスの大学や大学院、カレッジで6ヶ月以上のコースまたは語学学校で11ヶ月以上のコースを受講する方
●Youth Mobility Scheme Visa(Tier5)
一般的にいうところの、ワーキング ホリデービザのことです。働く、勉強する、旅行するなど全てができる自由度の高いビザです。しかし、自由度が高いがゆえに毎年発行数が決められており、留学ビザと比べると倍率も高くビザの取得が難しいといわれています。
特徴
- 18歳以上30歳以下
- 最大2年間滞在できる
- フルタイムの就労が可能
- 期間の延長は不可
- EU国籍以外でもインターンシップに参加可能
対象学生
イギリスのワーキングホリデーに参加される方
2. ビザ申請に必要なもの
続いて、ビザの種類別に申請に必要なものを見ていきましょう。
イギリスでのビザ申請は厳格です。それは、イギリス国内の移民に対する法律が改正されて、ビザの申請に関する条件が厳しくなったためです。ここで必要な書類をきちんと確認し、ヌケモレのないようにしておきましょう。
*太字のものは必ず用意する必要のあるものです。
●短期学生ビザ6ヶ月(Short-term Study Visa 6 months)
- 学校からの入学許可証(原本)
- 帰国航空券(控えでも可)
- 英文の残高証明書※1
- 滞在先の詳細/証明書(住所が分かるようなもの)
- 申請料金の£89(*日本で申請する場合)
●短期学生ビザ11ヶ月(Short-term Study Visa 11 months)
- 学校からの入学許可証
- 帰国航空券(控えでも可)
- パスポート(古いパスポートがある方はそれも一緒に)
- 英文の残高証明書※1
- ビザ申請フォーム(オンラインで入力したもの)
- ビザ申請予約確認書
- IHS登録料金の£150
- 申請料金の£170
- 滞在先の詳細/証明書(住所が分かるようなもの)
- 英文の在職証明・在学証明書など
●学生ビザ(Tier4)
- 学校からの入学許可(CAS)番号(原本の入学許可証は不要)
- パスポート(古いパスポートがある方はそれも一緒に)
- ビザ申請フォーム(オンラインで入力したもの)
- ビザ申請予約確認書
- IHS登録料金の£150
- 申請料金の£328
- 現在の英語レベルを証明できる書類(IELTSの成績表)
- 英文の残高証明書※1
- 滞在先の詳細/証明書(住所が分かるようなもの)
●Youth Mobility Scheme Visa(Tier5)
- Youth Mobility Scheme抽選に当選したメールのコピー※2
- 英文の残高証明書(£1890以上)
- ビザ申請フォーム(オンラインで入力したもの)
- ビザ申請予約確認書
- IHS登録料金の£200/年
- 申請料金の£225
※1:英文の残高証明書
資金証明として、ロンドンは月1265ポンド、ロンドン以外は月1015ポンド×滞在期間の資金があることを証明する必要があります。
例えば、
ロンドン:£1265×6ヶ月=£7590
ロンドン以外:£1015×6ヶ月=£6090
資金はビザ申請前の過去28日間をさかのぼって、本人名義の口座が入っていることが望ましいです。家族名義の口座を使う場合は、親子関係を証明する戸籍謄本などの提出が必要です。
※2:Youth Mobility Scheme抽選に当選したメールのコピー
年間で発行数が限られているYouth Mobility Schemeビザは、毎年抽選などで当選した人だけに発行されます。選考の方法は年によって違い、毎年年末頃に選考方法が発表されます。
3. イギリス留学のビザの申請方法
ここでは、ビザの申請において必要な書類の準備やビザセンターへの訪問などをステップに分けて説明します。
1.Webオンライン登録/書類記入を行う
UK Visas and Immigrationのホームページにアクセスし、オンラインでビザ申請を行います。ちなみに、オンライン登録に際しては、内容は全て英語で書かれています。
オンライン登録で気をつけて欲しいのは、書類を印刷してから30日以内に書類を提出しないといけないところです。なるべく早めに登録作業を済ませるのが良いでしょう。また、プリント後は内容の修正を行うことができないので、ミスのないように慎重に記入しましょう。
2.書類提出日の予約を申し込む
続いて、Web上から「VFS ビザ申請センター」に書類提出日の予約を申し込みます。「VFS ビザ申請センター」はUK Visas and Immigrationに代わって、審査を行う民間機関です。
書類の期限などにも留意し、予約を行いましょう。ちなみに、もしその日に都合が悪くなった場合は、予約した日程の24時間以内の場合を除き、予約した日程の再調整をすることができます。提出日までに書類を揃えられそうにない場合は、早めに予約している日程の変更を申し込みましょう。
3.必要提出書類の確認
提出する必要書類を確認します。
書類の不備、矛盾、誤訳がないように入念にチェックを行います。ちなみに、日本語の書類は原本と英訳をセットで提出します。書類の英訳を自分で行うことは原則として認められておらず、第三者の翻訳者をたてる決まりになっています。また、英訳書類には翻訳者の連絡先を必ず記入してください。翻訳に嘘偽りがないかどうかの翻訳証明書の提出も忘れないようにしましょう。
実は必要書類には、公式の記入例というものが存在せず、30%前後の人がビザ申請書類の不備、記入ミスをするといわれています。書類の不備で再提出を求められれば再度、英訳や確認を行うこととなり、大幅なタイムロスを生み出してしまいます。
最悪の場合、提出期限までに間に合わない可能性もあるのです。全て自力で手続きを行おうと思わずに、書類校正や記入をサポートしてくれる専門のエージェント等に依頼をするのが得策でしょう。
4.ビザの申請手続き
さきほどのVFS ビザ申請センターにて、ビザの申請手続きを行います。申請手続きでは、主に以下のことを行います。
- 申請費用の支払い
- ビザ申請書類の提出(ビザの種類によって書類は異なる)
- 指紋・顔写真(通称BRP)の登録
またビザ申請においては注意点がいくつかあります。
●髪型や手の状態を整えておく
BRPの審査は厳しく、指紋に切り傷や擦り傷がある場合など、正しく認証されない場合があります。また、写真も同様で顔に髪がかかっている等で認証されない場合があります。正しく認証されないと、ビザの申請が完了しないので、ご注意下さい。
●持ち込み禁止のものを事前に確認しておく
VFS ビザ申請センターでは、持ち込み禁止とされている持ち物があります。以下にて、一部紹介します。
- カメラ機器類
- CDや音楽プレイヤー等
- 封筒や小包
- 燃料系、火を発生させる器具
- 刃物類
これらのものをセンター内に保管することができないので、注意しましょう。詳細は、ホームページをご参照下さい。
5.パスポート返還/ビザ審査の合否の発表
ビザ申請の手続きが完了したら、マニラの英国大使館からビザ審査の合否に関するメールが送られてきます。そこにはパスポートの受取方法とビザ審査の合否結果が書かれています。パスポートの受取方法については、ビザ申請と同じタイミングで決めることになります。
4.申請にかかる期間は?
以下では、ビザ申請にかかる期間について詳しく説明していきます。
●ビザの申請は余裕を持って実施するのがベスト
イギリスのビザは、渡航の3ヶ月前から申請が可能です。申請結果が出るには、全てのビザにおいて共通で15日あれば完了します。
書類のチェック・翻訳の期間を含めるとさらに時間がかかることが予想されるので、余裕をもって1ヶ月半ないし2ヶ月は時間をとった方が良いでしょう。
英訳や書類チェックを行っているエージェントの選定は、申請可能期間の前から行えば、心にゆとりが持てるでしょう。
大まかな申請期間の目安は、英国大使館ホームページに記載がありますので、そちらをご参照下さい。
●書類が期日までに間に合わない場合は?
「十分に準備をしたのに、期日までに間に合わなさそう…。」と思ったら、諦めずに申請書類を提出するVFS ビザ申請センターにて提出できない事情を説明しましょう。
虚偽の書類を提出してのり切ろうと思ってはいけません。発覚した場合、ビザ発行の許可が下りないどころか、最悪の場合はブラックリストに乗って二度とイギリスに行けなくなってしまいます。まず、時間に余裕を持って書類の作成を行うことが大切です。
5.ビザ申請時の注意点
繰り返しますが、イギリスのビザ審査は複雑かつ厳格であり、実際に留学予定の方が審査否認されてしまったケースもあります。ここでは、イギリスビザの申請や発行における注意点を説明します。
注意点1:制度がめまぐるしく変更する
イギリスのビザは細かな制度改正が度々行われます。1年の間に何度も改正されることもざらにあるので、こまめに公的機関等で掲載されている情報に目を通しておくと良いでしょう。
確認せずに、手続きをしたことで罰金や不正扱いを受けてしまうことも考えられますので、必ずビザの申請前には最新の情報をイギリス大使館等の情報を確認するようにしましょう。
注意点2:ビザ認定の学校かを確認する
イギリスで就学する場合、学校からの入学許可証が必要になります。更に、入学許可証を発行する学校は、UK Border Agency(英国国境局)が認める教育機関でないといけません。事前に希望している学校が認可されているか確認をしておくのが得策でしょう。
また、ビザの発行は、一つの学校に対して一つのビザが基本と定められています。滞在期間中に、語学学校やカレッジなど複数の学校への通学を組み合わせてビザの申請はできません。
注意点3:英語力の証明書類でTOEIC、TOEFLは無効扱いになる
2016年6月現在、イギリスでは英語力のレベルを示す指標としてTOEIC、TOEFLのスコアは全面的に効力をもたなくなりました。IELTS等のスコアでの英語力証明が必要になります。
6.まとめ
冒頭にも述べたとおり、イギリスのビザの制度は適宜改正される可能性があります。万全を期するためにも、大使館などの公的な機関で発進される情報もチェックしましょう。