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英語の発音を練習する方法|母音と子音、英単語の発音をトレーニング

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19 5月 2017
英語の発音を練習する方法

英語学習の初心者の中には、発音の重要性についてきちんと理解している人は意外と少ないかもしれません。
しかし、正しい発音が身に付いていないと、簡単な単語なのに相手に理解してもらえず、買い物一つ満足にできなくて、がく然としたという話を聞いたことはないでしょうか。
では、正しい発音の仕方を効率的に身に付けるには、どうすれば良いのでしょうか?
今回は英語の発音を上達させたい人向けに、ネイティブに近い英語の発音をマスターするための練習方法をご紹介します。

英語の発音を練習する方法

||目次||

1. 英語の母音と子音の発音を練習する

2. 英単語の発音を練習する

3. 英語の発音練習に使えるもの

4. 臆せず、まずは声に出してみよう!

 

英語の母音と子音の発音を練習する


まずは、日本語との違いを意識しながら、英語の母音と子音の発音を練習するコツや方法をご紹介します。

 

●なぜ母音と子音の練習が必要なのか

理由は英語の豊富な発音の種類にあります。日本語の母音は「あ(a)・い(i)・う(u)・え(e)・お(o)」の5種類です。一方、英語にはそれ以上の母音が存在し、日本語にはない英語特有の子音もあります。そのため、英語の発音を上達させるには、まず英語の母音と子音に注意しながら練習する必要があります。
例えば、日本人にとって「あ」とも「お」とも聞こえる母音が[ɜ]と[æ]、[ɑ]です。日本語にはない子音には、[v]や[r]、[θ]などの音が当てはまります。

 

●舌の位置や口の形を覚える

英語は母音や子音の種類が多いため、日本語よりも舌や口をよく動かして発音します。先程挙げた母音と子音の中から、いくつか解説しましょう。
母音の[ɑ]という音は、日本人には「お」のようにも聞こえますが、厳密には「お」と発音するときのように唇をすぼめません。「あ」の口で「お」の舌の位置をつくると発音できます。
[æ]という音は、「潰れた『あ』」ともいわれるように、「あ」の口をやや狭め、舌を「お」の位置よりも前に出して発音します。
子音の[v]という音は、[f]の発音を濁らせたものとされ、下唇と上の歯でつくった隙間から空気を漏らす要領で発音します。
[r]の発音は、日本人が最も苦手とする音使いの一つです。日本人が使っている「ら行」の音は[l]に近く、[r]は舌を巻きながら上顎につけないようにすると発音することができます。
[θ]という音は、上下の歯で舌を挟み、そこから息を漏らすようにして発音する摩擦音といわれています。
他にも、英語にある特徴的な発音として[ŋ]に代表される鼻濁音があります。この音は、スペル上は「ng」で構成されているため、そのまま読もうとすると「んぐ」と発音してしまいがちです。しかし、鼻濁音は口から発せられるというより、鼻から抜けていく音です。練習する際には、舌の根元と上顎で口の中の空気の通り道をふさぎ、代わりに空気を喉から鼻へ通すよう意識すると、ネイティブに近い発音ができるでしょう。

 

● 腹式呼吸を意識する

英語の発音を練習する際は、腹式呼吸も意識しましょう。
英語では口から漏れる息のような音も、発音の重要なエッセンスの一つです。そのため、英語を話すには、十分な量の息が必要になります。一方で、発音する際に息に意識する必要が少ない日本人は英語を話すときも声が小さくなりがちで、上手に発音できなかったり、相手が聞き取りにくかったりする傾向があります。

 

●フォニックッス(phonics)を学ぶ

フォニックス(phonics)は、つづりと音を教える方法として英語圏の子供に広く使用されている学習法です。アルファベットの文字と音の関係を学ぶことによって、スペルから発音を推測できるようになります。
ただ、フォニックスはあくまでも英語の初等教育向けに作れられている教材です。中には、ルールの通りに発音できないものもあります。どうしても英語の発音に慣れないときの方法として取り入れると良いでしょう。

 

英単語の発音を練習する


ネイティブに近い、より正確な英単語の発音を手に入れるには、以下の3つのステップを踏んでいきましょう。

 

●ネイティブの発音を聴く

英語本来の音がどのように聞こえるのか、自分の耳で確かめましょう。手軽に利用できるのは、無料で使えるオンライン辞書です。大抵の単語には音声が収録されており、意味を調べるついでに発音を確認することができます。また、発音記号も載っているので、音声と発音記号を照らし合わせて、音のパターンを学習することもできるでしょう。

 

●声に出してまねをする

どんなスキルもインプットするだけでは上達しません。最初は聞きまねでも構いませんので、ネイティブの発音を聞いたら、実際に声に出してみましょう。さらに、このとき自分の発音を録音しておくのも、おすすめです。自分では再現できていると思っていても、録音を聞いてみると全く違うということもあります。

 

●録音したものを聞いて修正する

アウトプットができたら、次はフィードバックです。録音した自分の声と、ネイティブの発音を聞き比べてみましょう。最初はまねできていないことに驚くかもしれませんが、聞き比べては修正する練習を繰り返し行ってください。
また、英語と日本語ではアクセントの位置が異なります。日本人の発音がカタカナ英語になってしまうのは、アクセントの誤りも原因の一つです。日本語的発音から脱却するには、アクセントを意識しましょう。

 

英語の発音練習に使えるもの


発音練習に使えるもの

海外ドラマやニュース、スマホのアプリなど、英語の発音を練習する際に使える教材をご紹介します。

 

●海外ドラマやニュース、洋画などのメディア

ネットで配信されている海外ドラマや、BBCなどのニュース音声や動画、それにレンタルDVDの洋画を使ってみましょう。英語の字幕機能がついていることもあり、英文を目で追いながら発音の練習が可能です。
練習の基本は英単語の場合と同じです。実際の英語を聞き、まずは声に出してまねてみます。それを録音し、本来の発音と聞き比べて繰り返し練習してみましょう。それ以外に、「シャドーイング」と「オーバーラッピング」という英文特有の練習方法もあります。どちらも発音に慣れてきた中級者向けのトレーニングですが、文章全体のテンポや調子をつかむには、最適な方法です。
シャドーイングでは、英文を見ずに、発音される文章の数単語後から追いかけるようにして発音します。一方、オーバーラッピングは、英文を見ながら、発音される音に自分の声を重ねるようにして練習します。単語間の音のつながりや、息継ぎ、強弱といった細かな点に気を付けながら、発音すると良いでしょう。
英単語の発音に加えて英文の発音を練習する意義は、文章の中に生まれるイントネーションを理解することにあります。単語の発音を完璧にすればネイティブと同じように英語を話せると思われがちですが、英文は伝えたい内容や意図によって、音の強弱やテンポ、リズムを変えていきます。文章特有の発音ルールを理解するためにも、英文の発音を練習する必要があるのです。

 

●スマホのアプリを活用

スマホを使ってスキマ時間に発音を練習できるアプリがあります。いくつかご紹介しましょう。


発音博士(無料)
音声入力を利用し、自分とお手本の発音を聞き比べることができるアプリです。また、自分の発音が100点満点中何点の発音なのか、母音と子音レベルで間違いを指摘しながら教えてくれます。発音を学べる英単語と熟語は全部で100フレーズ。課題をこなして自分が苦手な発音に気付き、重点的に練習するといった使い方も可能です。


発音図鑑(有料)
東京外国語大学の英語教育学の教授が監修した、発音矯正アプリです。有料アプリではありますが、英語の発音を視覚的に学べる優れた機能が搭載されています。
このアプリでは、英語の発音一つ一つについて、口や舌の動きなどを3DCGのアニメーションで解説してくれます。調べたい単語を入力すると、口や舌がどのように動いてその単語が発音されているのかを確認することができます。


スピーキング&リスニング 英語発音ドリルAtoZ(無料)
このアプリは、「発音博士」同様、自分の発音とお手本の発音を比べて間違っている部分を指摘してくれます。「スピーキング&リスニング 英語発音ドリルAtoZ」では、さらにコミュニケーションでよく使用される定型句などの文章の発音チェックも可能です。文章単位の発音チェックは、「発音博士」にない機能です。
英単語の発音は「発音博士」で練習し、文章のイントネーションは「スピーキング&リスニング 英語発音ドリルAtoZ」で練習するという合わせ技も良いでしょう。

 

臆せず、まずは声に出してみよう!


英語の発音が上達しない一つの原因は、アウトプットする機会が少ないことです。しかし、オンライン辞書をはじめ、海外ドラマやニュース、スマホのアプリなど、英語の発音を練習できる教材は至る所にあります。好きな俳優の気に入ったフレーズからでも構いません。まずはそれっぽく声に出すことから始めてみましょう。
今回は自宅で練習できる方法をご紹介しましたが、発音を上達させるための一番の特効薬は語学留学です。「ネイティブのように英語を話したい」と本気で思っている人は、海外留学を検討してみてはいかがでしょうか。

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