ニューヨーク留学体験談 : 大学でデザインを勉強した松井理恵さん
現在、カプランのニューヨーク・エンパイアステート校で約10ヶ月間留学している松井理恵さん。英語の習得以外にも他のスキルを身につけることも目標としている彼女は、現地の企業で働くことができるプラクティカルビジネス英語コース(注1)に参加。現在は更に夜間にニューヨークのファッション系の大学で授業を受けています。
そんなバイタリティー溢れる松井さんに、留学の目的や現地での体験、またこれから留学を考えている日本人留学生へのアドバイスについて語っていただきました。
松井理恵さんプロフィール
同志社大学政策学部3年生。大学在学中に一年休学し、カプランのニューヨーク・エンパイアステート校に留学。カプランでの英語授業以外に、デザイン系の大学であるFITでデザインの授業を受講。
(注1)現在は開講しておりません。
きっかけはガールスカウト
私は小学校3年生からガールスカウトに通っていたのですが、そこのリーダー達が世界中にコネクションがある方たちで、彼らに感化されたのが海外に興味を持ったきっかけでした。
それから中学2年生のときに学校の2週間の留学プログラムに参加したり、ガールスカウトでサンフランシスコへの2週間のキャンプに参加しました。
そこで感じたのが、今まで学んだ自分の英語はぜんぜん通じないということ。そのときに外国人と喋りたいという欲望がふつふつと沸いてきたんですね。だから時間のある大学生のうちに留学に行くというのはずっと決めていました。
大学は同志社大学の政策学部に入りました。政策学部は経済も法律も幅広く学べるのは良かったのですが、就活を目の前にして改めて「私は何がしたいんや?」と考えるようになりました。
私の父親は京都の西陣織のファブリックデザイナーをしていて、小さいときからその影響を受けていたのですが、父と同じく何かを創り出す仕事をしたいと思ったとき、このまま就職してもやりたいことはできないと思いました。
だから留学中には英語の勉強以外にデザインのスキルを身につけるためにデザイン学校に通おうと思いました。そういった視点で留学先を絞り、最終的にニューヨークを選びました。
語学学校選びに関しては、大学のクラブの先輩やバイト先の先輩の友達が過去にカプランに通っていて、そこで話を聞きました。また、中高の友達が同じ時期に偶然、それぞれ違う都市のカプランの学校に手続きをしていたのを見て、カプランに決めました。
自分の成長を感じたプラクティカルビジネス英語

ニューヨークに留学してから最初の2ヶ月は時差や環境の変化などでしんどかったですけど、3ヶ月目ぐらいから生活に慣れてきて、英語の勉強に集中できるようになりました。
学校で英語の基礎を学んだ後、途中からPBE(注2)に参加しました。PBEのコーディネーターがとても親切で、トレーニング先を絞れなかった私に3つの会社を選んでくれました。
その中から私はリーダーシップによるソリューション提供を行うImpact Leadership 21という社会的企業に決めました。そこを選んだのは、ガールスカウトなどを通じて女性のリーダーシップについての問題を感じていて、リーダーシップの可能性や自分自身のコラボレーションスキルを身につけたかったからです。
具体的にはリーダーシップに関するセッションやクラスを開いたりしていたのですが、私はマーケティングアソシエイトとしてSocial mediaの運営や、アメリカの大学のコミュニティーと連絡を取っていました。
PBEを始めたばかりの頃は上司とのコミュニケーションが困難でした。英文のEメールを作るのも大変で、上司に助けてもらいたくても忙しくてなかなか時間が取れませんでした。今思えば日本人ならではの問題だと思うのですが、自分からどんどん聞くということができていなかったんですね。
PBEのコーディネーターにメールで相談した後、自分から積極的にコミュニケーションをとることに決めて、それからはコミュニケーションの問題も解決しました。
2ヶ月間PBEをやって、すごい自分の成長を感じましたね。最初は社長とミーティングしても自分の意見が言えなかったんですよね。それに状況に対して、平等に扱ってもらえていないと感じていた自分もいました。
そのときにコロンビア大学から来ていた現地のインターン生と話をしたのですが、その人と話をして分かったのが、ちゃんと調べたうえで自信があれば自分の意見を言ってもいいということでした。
それまでは日本人的な考えで、働き始めて間もない状況で上司などに対して意見が言いづらかったんですね。今思えば、平等に扱ってもらえていないと勝手に感じていたんだと思います。PBEをやって自分の意識が変わりました。
(注2)プラクティカルビジネス英語の略。現地企業でトレーニングしながら英語が学べるコース。*現在は開講しておりません。
ニューヨークのFITでデザインを学ぶ

インターンシップを始めて少し経った頃に、FIT(注3)の夜間の授業に通い始めました。FITには直接申し込んだのですが、その頃にはこっちでの生活に慣れていたので不安はありませんでした。
FITでは、Color Experience(注4)とExperience the Power of Color / How Color Gets to Market(注5)の2つの授業を受けています。一日のスケジュールは、07:30-08:00にスポーツジムに行き、08:30-13:40がカプランの授業、14:00-17:30までがPBE、18:00-21:00がFITの授業といった感じです。
(注3)Fashion Institute of Technologyの略ファッションやデザイン、アートなどに特化した州立大学で、卒業生にカルバン・クラインなどがいる。
(注4)色が人間やファッションに与える影響
(注5)色がマーケティングに与える影響
1日に1回知らない人と話すことを目標にする

留学に行っただけで英語が喋れるようになる訳ではないことは分かっていました。だからこそ、留学中にどれだけ英語を早く習得して、残り時間を何か違うことに使ってアウトプットを出せるか意識しました。
学校の先生と話す全員に言われることがあります。それは、日本人はGrammar(文法)ができるけど、Speaking(スピーキング)ができないということです。そこがスペインやフランスなど、他の国の学生と一番大きな差だと指摘されます。
日本人が苦手とするスピーキングを上達させるために、私が実践していることを紹介します。これから留学をしようと考えている人も参考にしていただければと思います。
1. 1日に1回知らない人と話すことを目標にする。
私がいろんな人のアドバイスをもとに実践しているのが、1日に1回知らない人と話すことです。道でもお店でも場所はどこでも良いのですが、とにかく目標を持って意図的に英語を話す機会を増やすことが重要です。
留学して私が感じたのは、日本人で外に出て人と話すことができる人が少ないということです。机の上で勉強してもスピーキングが上達しません。このやり方を実践して、私は英語の面でも人間的にも成長したと感じています。
2. 日本語を話さない時期を作る。
他には日本人同士でかたまり過ぎないことが重要です。日本人同士でかたまるとどうしても日本語を話してしまいます。それを避けるためにも、日本語を話さない時期を作ることが重要です。
3. 分からない単語は、日本語ではなく英語で辞書を引く。
英英辞典を使って単語の意味を調べるのが、英語を理解して語彙を増やす1番の近道だと思います。1つの単語を調べると、またその説明に知らない単語が出てきます。それを1つ1つ調べていくと、和訳とはまた違ったニュアンスでその言葉の理解できます。また、その過程に時間がかかるほど、頭に染みついて覚えることができます。一石二鳥ですね。(笑)
ただ、始めはかなり時間がかかるので、続ける人は日本人に限らず多くない印象があります。最近は類似語や対義語も調べるようにしています。
取材を終えて
ニューヨークでの留学生活が本当に充実している様子が伝わってきた松井さん。企業で働きながら英語を学ぶコースに参加したり、アメリカの大学のコースを受講するなどして、英語以外のスキルを積極的に学ぶ姿勢が印象的でした。
インターンシップの最初にコミュニケーションに苦労したと松井さんはおっしゃっているのですが、仕事などにおける日本と海外での考え方の違いは想像以上に大きいようですね。そういった考え方の違いを肌で感じられたことも本人が成長を感じた理由の1つなのだと思います。松井さんが今後社会に出て活躍するのを楽しみにしています。
